「じゃあ今回も大人しくしてるよ〜」

私が前に出るとまずいらしいので、あくまでグループの“姫”という形で大人しくしていることにした。


「……で？その距離感はなんだよ」
「ん？いつも通りだけど」


一輝くんは表情一つ変えず、私の頭を撫でながら淡々と答える。


「なんでお前ばっかり陽菜を独占してんだよ」
「あらら〜？京ちゃん嫉妬？怖いね陽菜」
「京ちゃんは私の番犬だからねぇ」


あはははと笑う私たちを見て、拳をワナワナ震わしている。

そんな京ちゃんのことなど気にせずに、話を続けた。

結果、今回は京ちゃんと瑞希が担当することに。


無言な瑞希はコクコク頷くことしかしないけど、大体何を考えてるかわかる。

もう、13年の付き合いだからね。


本日の会議はそれで終わり。2人は家に帰って、私たち4人だけここに。

親がいないのに、バイトもせずにどうしてこんな快適な暮らしができているのか。

それは、祖父母の会社がちょっと大きいからだった。

両親に逃げられ、兄も失った私に無理をしてほしくないと気を遣って、新しい家を買ってくれたのだ。

そんなことしなくても大丈夫だと言ったけど、優しいおばあちゃんとおじいちゃんはそうしてくれた。

2人のことは、ものすごく大好きだ。