「海!お前また俺を置いて行きやがって!」



…また別のうるさいのが来た。
そして空人は朱莉を見るなりどんどん表情が歪んでいく。



「げっ、なんで鹿嶋がいんだよ」

「あはは、同じ学校で同じクラスだからねー」

「その上私の友達」

「どんまーい。私だってあんたと一緒なんか嫌なんだから」



朱莉は鼻で笑いながらトントン、と空人の肩を叩いた後上靴に履き替え先を行く私を追いかけて来た。



「海さぁ、勉強してる?」

「してない」

「この時期になんて事を」

「気が乗らないの」

「そんな事言ってられないでしょ、バカ」



確かに、と笑いながら教室に入った途端、空気が少しだけ変わった。

皆、私を見てわざとらしく優しく微笑んでおはようと言う。


…また、気を使われている。