「なぁ、聞いてんのかよ！」
「聞いてない」
「聞けよ！」
「どうせ、ろくでもない」
「お前ほんっと、ムカつく奴だな」
「そりゃどうも」
鞄からおにぎりを取り出してひと口食べた。
「てかさ、いつからそんな世話焼きになったの？」
昔はそんなんじゃなかったのに。
私の隣をぷんすか怒りながら歩く空人を見ると、今までのそれが嘘のように大人しくなった。
「空人？」
「…別に、俺は昔からこうだろ」
「……いや、だいぶ違うけど」
おにぎりをまたひと口食べて空人を見る。
小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた所謂“幼なじみ”である私達。
親同士が仲が良かったのもあるけど幼稚園も小学校も中学校も同じで、流石に高校は離れるかと思っていたら揃って同じ学校を志望していた。
「…………遺言だから」
「は、？」
「俺、海の事よろしくって言われてるし」
「………」
