昔はどんなに時間が無くても髪を巻いてメイクもしっかりしていた。

いつでも、可愛く思われたくて。

今ではストレートのまま、ほぼノーメイク。
気力なんてないんだ。やる意味もない。



「あ、海?朝ご飯どうする?」

「時間ないからいらない」

「じゃあこれ、おにぎり!食べながら学校行きなさい」

「えぇ」

「えぇじゃない!食べられる分だけでいいから、ほら」



半ば無理矢理おにぎりを手渡されて頷くしかなかった。

部屋に戻り制服に着替え鞄にさっき貰ったおにぎりを入れ1階へと降りる。
相変わらずソファでくつろいでいる空人を横目に「行ってきます」とお母さんに告げてリビングを出た。

ローファーを履いているとリビングの方からドタドタと足音が聞こえ勢いよくリビングのドアが開いた。



「お前さぁ!準備出来たんなら言えよ!」

「はいはい、すみません」

「せっかく迎えに来てやってんのに」

「あんたが勝手にやってるんじゃん。私頼んでないし」

「はぁぁぁ?」



背後でぶつぶつ文句を言っている空人を無視して先に玄関から出た。

今日も無駄に天気が良い。