ついこの間やっと学校へまともに行けるようになった。
…と言ってもたまに早退する時もあるけど。

クラスメイトや先生達はそんな私を哀れむような目で見てくる。


【 か わ い そ う に 】


そんな目で。


起きたまんまの姿でお母さんの後ろを追うように階段を駆け下り、1階のリビングのドアを開けるとまるで我が家のようにソファにくつろぐ空人が居た。



「あ、おはよー」

「…なんで居んの、」

「え?お迎え…って、ブッサイクな顔だな」



髪ボッサボサじゃねぇか、とケラケラ笑っているその片手にはアイスが握られている。

朝からアイスかよ。



「何突っ立ってんだよ、早く準備しろよ」

「はあ?」

「お前のせいで俺が遅刻したらどうすんの?」

「じゃあ先に学校行ったらいいじゃん」

「俺がこうやって迎え来ねぇとお前学校来ねぇだろ?優しさだよ、や・さ・し・さ」



要らない優しさです。


と心の中で思いながらも反抗する気力も無いので空人を無視して洗面所へと向かった。