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「…じゃ、お昼くらいには帰ると思うけど一応冷蔵庫にお昼作っといたから食べれたら食べなさい」

「…うん、」

「行ってきます」



喪服姿の母を一瞬だけ見て布団にうずくまった。

やっぱり私は行けない。

お母さんもお父さんもなんとも言えない表情をしていたけど、「分かった」とだけ言われた。


あんなに蝉が鳴いていたのに、雨が降っているわけでもないのに静かで寂しい。
気休めに動画サイトで見つけた適当な動画をBGMにベッドに横になる。


空人からはメールで鳥のスタンプが送られてきた。


雫玖が居なくなった世界は案外普通に回っていて誰も、何事もなかったかのように毎日を過ごしている。