「…雫玖、」



スマホのカメラロールに入っている今まで撮った写真と動画。
3人のやつがほとんどだけど、雫玖と2人で撮った写真も負けずに残っている。

動画を再生して、画面の中の彼が私の名前を呼んだ。



《「海」〜!》



バッと後ろを振り返ると、そこには空人が立っていた。



「ったく。ここに居ると思った」

「…なんで、学校は?」

「俺も早退した。アカデミー賞取れるくらいの一芝居打って」

「…馬鹿なの?」

「ま、先生達は海だけじゃなくて俺にも甘いって事だよ」



俺ら今悲しみに暮れてる仲間だから。

…やっぱり馬鹿だ。
どうせ先に帰った私が心配だからとかなんとか言いくるめて抜け出して来たんだろう。



「何見てたんだよ」



腰を下ろしている私の隣にドカッと座った空人。



「動画見てた」

「動画?何の?」

「3人でカブトムシ探しに行った時の」

「うっわ、懐かしすぎだろ」



私の手元にあるスマホを横から覗き込んでケラケラ笑っている。