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あの後、空人は私の代わりに教室にある鞄を取りに行ってくれた。

その間に体育教官室に行き、笹山に早退する事を告げた。
笹山は何か言いかけていたけど何も言わず、「親御さんに連絡しとくな」とたけ言った。


空人から鞄を受け取って靴箱に向かう時に


《ノート代、ジュースね!》


というメールが届いていて、お礼だけ送ってスマホを閉じた。


そして私は今、また海に来ている。
小さい頃から行き慣れた海。

岩場の日陰になっている所に腰を下ろして波の音を聞きながらボーッと水平線を眺めた。



『私海に夕日が沈んでくところ好きかも』

『確かに、綺麗。でも俺は日の出派かな』

『日の出?』

『…小さい頃、父さんと1度だけ来た事があるんだよ。めちゃくちゃ綺麗でさ、今でも覚えてる』

『へぇ!私も見てみたいかも』

『ふふっ、海早起き出来んの?』

『できるよ?やろうと思えば』

『嘘ばっか』




昔から私は朝に弱く、毎日のようにお母さんに叩き起されていて学校の日でさえギリギリだった。



『じゃあ、いつか一緒に見よっか?』

『うん!』



…未だに日の出の海を見れていない。