悲しい事に私達のその疑問は誰にも分からない。
─────『海っ!!今電話があって…、雫玖くんがっ!!』
頭が真っ白になった。
お母さんがなんて言ったのか半分も理解出来ていないまま車に乗って連れていかれた病院。
そこに居たのはほんの微かに温もりを感じる動かなくなった雫玖だった。
どうして。なんで。
考えても考えても答えが見つからない。
だって、さっきまで電話してたじゃんって。
「…海、授業、」
「ごめん、早退する」
「海、」
「ごめん、空人…」
スマホには未だに残っている。
部屋にだって残ってる。
まだ、雫玖の気配が。
《この前見かけた捨て猫誰かに拾われてた》
《これ美味しかった、海も今度一緒食べよ》
《ねー海、今何してる?》
ふざけたスタンプは私と空人が昔ハマってたキャラで、1人だけ除け者だと嫌がって興味もないのに雫玖は同じスタンプを買った。
─────『もう何?大丈夫だってば、俺はここに居るでしょ?』
私が不安になったらそれを察して呆れながら大丈夫だとよく笑う。
空人が女の子に振られた時も、四六時中傍にいて励ましていた。
「……あいたいっ、」
「っ、」
好きだと言っていた海に行っても、もうどこにも雫玖の姿は見つからない。
思い出だけが残っている。