七度目の統合失調症

***

さてもさても、七度目の波が押し寄せた。あのバナナミルク、あれが好きで好きでたまらん。その自動販売機に並んだ瞬間、これはただ事ではないと、心が高鳴る。五百円玉を入れたら、釣り銭はどうした?一枚だけ。それがまた五百円とは!幸運の風吹くやら、何かの前兆かいな。

ゴクリと一口、もったいないから、じっくり飲むと決めたその時、彼女の車が目の前に!心臓がドドン!全身がガクン!足の力が抜けて、頭が真っ白に。

「ああ、これが夢か、現か、どっちやねん!」

急いで自分の車に飛び乗り、エンジン全開。逃げ出したのは公園や。そこの駐車場は閉鎖されてて、もう、行き場がない。でもな、どうしたらええんや。思考はパニック、もう何もわからん。

「ああ、精神科や、助けてくれ!」

電話するが、彼女の友達はおらんと聞かされる。心臓が爆発するかと思うその時、ふと気付けば、彼女との思い出が頭に浮かんできた。走馬灯のように巡る巡る、優香との記憶。思い切って手紙を書いたんや、ラブレター。バレンタインデーに送るつもりで、なんと文学賞に応募までしとったんやで。

その日が来るのを待ちながら、コロナが消えてくれるように祈ってた。三年後にプロポーズするんや、そう決めたんや!

そして再び駐車場に戻ると、まだ彼女の車がある。これは現実か、幻か!?冷静を装っても、汗が出てくるわな。

外来の自動ドアをバシッと抜けるが、彼女の姿はない。でもな、看護師さんに聞いたら「あれは現実や」と言うてくれた。

なんや、思い浮かんだのはあのAKBの小嶋陽菜や!彼女に似てたんやな。ほんまに、あの時スマホの待受にしてたんやけど、それを彼女に見つけられた時は、ほんまに驚いたなあ。

そしてな、彼女はまた目の前を通り過ぎるんやけど、声をかけられへん。なんでや、なんでこの赤い糸を手繰り寄せられへんのや!?

でもな、次の日、奇跡が起こったんや。彼女からのLINEや。「ご飯食べに行こうか?」そう書かれてたんや!心がグッと震えた瞬間やった。

その後、運動公園で散歩することになり、今もその縁は続いてる。でもな、これはほんまに、精神科で言う「統合失調症」の症状なんか?わしには、どうにもわからん。