4度目の再発

四度目の発作がやってきたのは、まさに油断していたその時。新しい職場、初めての出勤日――それも女性ばかりの職場で、男は何の不安も抱えていなかったはず。しかし、この病は何の前触れもなく、急に頭の中を狂わせてしまうのでございます。

その朝、異常など一切感じられなかった。むしろ順調なスタートかと思われたその日、仕事を終えて家に戻るやいなや、妄想が始まりました。愛車はトヨタコロナ、まるで自分の相棒のように感じられたその車に乗り込むと、彼は車の精度を試すかのように、2時間もひたすら走り回ったのでございます。

帰宅後、男はついに両親に告白しました。「ちょっと頭が変になってきた、明日病院に連れて行ってくれ」と。どんなに苦しい状況でも、正直に伝える勇気を持っていた男。しかし、その晩、事態はさらに悪化していくのでございます。テレビにかじりつく彼の目には、画面の中からテレパシーが送られてくるかのように映り、現実との区別がつかなくなっていたのでした。

結局、彼はまたしてもあの独房室――保護室へと連れ戻されることに。四度目の発作は、特に厳しいものであり、被害妄想が治まるのに一ヶ月もの時間を要しました。彼の病は、頭の中の妄想が行動に現れなければ、周囲には異常に見えない。そんな病気の特徴が、彼をさらなる孤独へと追いやっていったのです。

独房に入ると、まずメガネが取り上げられます。食事が差し入れされる度に看護師から「食べないと早く出られないよ」と言われるのですが、持ってこられたご飯を見ても、ぼやけて茶色がかって見える。それがどうにも**ウンコ**に見えてしまうのでございます。そして、どろっとした食事は唾が混ざっているように感じられ、どうしても口に入れることができない。食べたいと思っても、頭の中の妄想がそれを許さないのです。

一ヶ月が経ち、ついに独房から解放されたものの、まだ男の妄想は完全に消えておらず、現実と幻想の狭間で揺れ動く彼の心が見え隠れしておりました。四度目の再発もまた、彼にとって大きな試練であり、この波をどう乗り越えていくのか――それが男の次なる課題であったのでございます。

浪花節の心、人生の苦難を歌い上げるこの物語。男の四度目の闘いもまた、どんなに苦しくとも、どんなに現実が歪んでいようとも、決して屈しないという強い意志が根底にあるのでございます。人生の波を乗り越え続けるこの男の姿こそ、まさに浪花節の真髄でございます。