朝食が出来上がったタイミングでピーターがディアンヌを呼ぶ声が聞こえた。
恐らく部屋にいないディアンヌを探しているのだろう。
匂いに釣られたのか、ピーターがキッチンに顔を出す。
キッチンに立っているディアンヌの姿を見て驚いているようだ。


「ピーター、おはよう」

「お母さん……?」


そんな声がポツリと聞こえたような気がした。
ディアンヌがどう言葉を返せばいいかわからずに、その場に佇んでいるとピーターはハッとした後にディアンヌに抱きついた。
そして彼と手を繋いで、いつも食事をしているテーブルへと向かう。
給仕がディアンヌが作った料理が乗ったトレイを目の前に置いた。


「これ……ディアンヌが作ったの?」

「そうなの。ピーターの口にあうといいんだけど」

「食べてもいい?」


ディアンヌはピーターの言葉に笑顔で頷いた。
ピーターは小さな手で食器を手に取る。
そしてスープをすくうと口元に運んだ。
ディアンヌもパンを手に取りつつ、ピーターの様子を伺っていた。

すると、ピーターの目からポロリと涙が零れ落ちる。