「……す、すごいわ!」

「そうよ? あなたとわたくしはもう格が違うのよ。身の程を知るがいい」

「え……?」

「ふふっ、なんでもないわ」


シャーリーが小声で何か言ったような気もするが、ディアンヌは煌びやかなドレスに夢中にだった。
眩しいくらいにギラギラと輝くドレスはどれも高級だとわかる。


「ここにあるのは、わたくしがもう使わないドレスなの」

「こ、こんなにたくさん……?」


爵位が違うだけで、こんなにも生活が違うのだと思うと驚きだった。
一面に並んでいるドレスは目立つ色のドレスばかり。
シャーリーには似合うのだろうが、ディアンヌに着こなせる自信はありはしない。
しかし今更、借りなくてもいいとは言えずにディアンヌは一番シンプルなドレスはないか問いかけることにした。


「この中で一番シンプルなものはある?」

「シンプルなドレスですって!? このわたくしに地味なドレスが似合うと思っているということっ!?」


突然、シャーリーの怒鳴り声が聞こえてディアンヌは肩を揺らす。
以前も怒りっぽい部分はあったが、その勢いは増しているような気がした。
ディアンヌは自分の言葉が足りなかったかもしれないと理由を説明する。


「着こなせる自信がないの。どれも素敵で豪華だから……わたしには似合わないかなって」

「ああ、なによ! そういうことね。まぁ、当然よねぇ?」