次の日、リュドヴィックに屋敷の中を案内すると提案を受けた。
怪我をしていたため、治ってからゆっくりと回らせてもらうと遠慮していたディアンヌ。


「なら、私が抱えながら回ろう。それならいいか?」

「…………え?」


結局、リュドヴィックの申し出を断りきれずに抱えながら案内されてしまう。
よくわからないが、リュドヴィックの距離感はたびたびおかしいことだけはわかる。
メリーティー男爵家の屋敷よりもずっと広い部屋を見て、感動していた。

契約結婚であることは一部の人にしかこの事実を伝えなかった。
混乱を避けるためと、メリーティー男爵家とベルトルテ公爵家の名誉を守るためだ。
知っているのは執事とエヴァ、侍女長のマリアくらいになるそうだ。


「この部屋が私たちの寝室になる。私はほとんど使わないだろう。ディアンヌが好きに使うといい」

「わぁ……!」


シンプルではあるが広い部屋を見回していた。

リュドヴィックはディアンヌを気遣い、立派な椅子に降ろしてくれた。
彼は寝室にほとんどおらず、書斎か城で過ごすことが多いらしい。
仮眠はソファでとっているそうで、その隈の原因になっているのでは……と思ったが口をつぐむ。
遠慮もあるが、リュドヴィックのことをまだ知らなすぎるからだ。
ここでディアンヌはあることが気になってしまう。