若干、契約結婚に関して二人の認識が食い違っていた。
リュドヴィックはそのことに若干気づきつつあったが、ディアンヌの熱意に押されて黙っていたのだった。


「それで提案なんだが……今日からここで暮らしてはくれないだろうか?」

「え……!? 今日からですか?」

「その足では満足に動けないだろう。メリーティー男爵領へ送っていってもいいんだが、ピーターがあの様子だからな」

「た、たしかに……!」


今のピーターなら、間違いなくディアンヌについていくと言いそうだ。


「生活に困らないように用意するつもりだが、足りないものはマリアに頼んでくれ」

「は、はい!」

「それから昨晩、メリーティー男爵家や王家へ提出する書類はまとめてある。これで問題ないはずだ」


どんどんと進んでいく話に、ディアンヌは頷きつつも驚いていた。
リュドヴィックの先を見越した動きと、手際のよさに目が点である。