「リュドヴィック様は本当にわたしで大丈夫なのですか? 何も取り柄もないですし、家柄も……」

「そんな些細なこと気にしなくていい」

「ですが、リュドヴィック様には、もっと相応しい相手がいそうですが」

「私は元々、結婚するつもりはなかったんだ」


リュドヴィックはどうも女性に苦手意識があり、今まで婚約者もいたことがないらしい。
言い寄ってくる令嬢たちは数知れず……。
歩み寄る努力をするが、リュドヴィックの性格もあり、最終的にはどんどんと執着してくるようになってしまうそうだ。
『もっとわたしを愛して!』『わたくしだけを見てくださいませ!』『私しか見えないようにしてあげる』
時には刃物を持って迫ってくることも、監禁されそうになったこともあったそうだ。

リュドヴィックに近づく者を蹴落としあい、トラブルに巻き込まれてばかり。
過激な方法でアピールしてくる女性たちに嫌気がさしていたそう。
だが、この容姿で頭もいいとなれば納得する部分も多い。
どうやら女性にモテすぎるのも大変なようだ。