リュドヴィックは執事にあるものを持ってくるように頼む。
そして文字が書かれた紙を渡される。
そこには結婚についての内容が事細かに書かれていた。

(これは……結婚というより契約なのかしら)

一通り目を通したディアンヌが顔を上げると、リュドヴィックと目が合った。
彼はディアンヌが資料を読み終わったのだと察したのか、彼は淡々と説明する。


「メリーティー男爵家の状況は把握している。これで十分なはずだが、他にも条件があれば教えてくれ」


リュドヴィックと結婚している間は、メリーティー男爵家を援助してくれること。
そこには今まで見たことがないような十分すぎる金額が書かれている。
ロウナリー国王もメリーティー男爵領のフルーツを所望とあり、王家からの支援も盛り込まれていた。

(これでロアンが王立学園に通わせることができる! ライもルイもレイも食べるのに困らないし、領民たちのことも守っていけるのね……!)

ディアンヌがパーティーに行く前に望んでいた、すべての条件が書かれている。
まさに理想通りといえるだろう。
それからリュドヴィック側の条件は特定の最低限ではあるが社交の場に同席してほしいこと。
それと一緒にピーターを育ててほしいと書かれている。

(こ、これだけでいいのかしら……!)

願ってもない好条件にディアンヌはゴクリと喉を鳴らしながら目を輝かせた。
その様子を見ていたリュドヴィックはディアンヌにこう告げた。