安心感か疲れからか、ディアンヌはホッと息を吐き出す。
扉が開くと豪華な部屋に通されて驚いていた。


「ディアンヌ嬢、すぐに医師がくる。もう少しだけ待っていてくれ」

「……ありがとうございます」


すぐに医師がやってきて、ディアンヌの足の状況を見て顔を歪めている。
消毒と薬を塗って、丁寧に包帯を巻いてくれた。
右足は捻挫してパンパンに腫れ上がっている。
ハイヒールが触れていた部分や足先も擦れて傷が悪化し、ひどいことになっていたそうだ。
そして一週間ほどは安静にするようにと言われてしまう。
それほどまでにハイヒールで無理した代償は大きかったようだ。
包帯が巻かれた痛々しい足を見ながら、ディアンヌは溜め息を吐いていた。

リュドヴィックは手当てをしている間にピーターの様子を見てくると部屋から出ていく。
医師も包帯が足りないからと、部屋から出ていくとカトリーヌと二人きりになってしまう。
気まずいと思う暇もなく、カトリーヌはディアンヌの前に立つ。


「娼婦のくせにリュド様に近づくなんて、なんて身の程知らずなのかしら……!」


こちらを見下しているカトリーヌと、シャーリーの姿が重なったような気がした。
グッと顔を近づけられて、ディアンヌはその勢いに仰け反ってしまう。