二人の会話内容はいまいちわからなかったが、ディアンヌはロウナリー国王の考えを勝手に読み取っていた。

(メリーティー男爵家を救うためならば……!)

元々、どこかに嫁ぐつもりでパーティーに突撃したのだ。
ディアンヌは腹を括っている。
ロウナリー国王の大胆に見えるが緻密に計算された行動に震えるしかなかった。
彼の命令には逆らわない方がいいだろう。

ロウナリー国王は「今日はピーターとディアンヌを連れて帰れ」と、言われたリュドヴィックは眉間に皺を寄せている。
ロウナリー国王が豪華に笑いながら部屋から出ていってしまう。
何度目かわからないため息が聞こえた後に、リュドヴィックの表情はいつも通りに戻る。

その後、ピーターはディアンヌからピッタリとくっついて離れなかったため、そのままエヴァに手伝ってもらいながらベルトルテ公爵邸に向かうこととなった。
ピーターが離れなかったこともあるが、ディアンヌが王都の宿に護衛も連れずに宿泊していたことを聞いて、リュドヴィックは驚愕していたからだ


「女性一人で宿泊するなど……いくら王都といえど危険だ」
 
「お金がなかったものですから……」

「宿の荷物は従者に取りにいかせる。今日はウチに泊まってくれ」

「いいのですか!?」

「ああ、もちろんだ」

「よろしくお願いしますっ!」