「総合的に見ても妻がいた方がいい。それは自分が一番よくわかっているはずだ。俺はディアンヌとリュドの相性はいいと思う」

「急にまともなことを言うのはやめてください」

「愛する者がいる喜びをお前にも知ってほしいだけだ!」


ロウナリー国王とリュドヴィックの言い争いは徐々に激しくなっていく。
エヴァと顔を見合わせながら、二人のやりとりを見守っているとリュドヴィックと目が合う。


「陛下、ディアンヌ嬢の意見を聞かぬまま、決めるべきではないのではないでしょうか?」

「それは正論だ。だが、ディアンヌはその覚悟でこの場にきている。家族を救うためにな」


今更、どちらでもいいですとも言えずに、ディアンヌは口ごもるしかなかった。


「自らがここまで追い詰められているこの状況でピーターを救い、家族のために自らを犠牲にして動ける女性が社交界にはどのくらいいるのだろうな」


ロウナリー国王は余裕の表情でニヤリと唇を歪めている。
しかしリュドヴィックは眉を寄せている。


「リュドヴィック、本当にこのままでいいのか? 理想の女性を手放して後悔しないといえるか?」

「……」

「それにオレはお前の好みを誰よりも理解している自信があるからな!」

「…………うるさいです」