(お父様もお母様もきっと喜ぶわ……!ロアンも王立学園に通えるし、ライとルイとレイにもたくさんご飯を食べさせてあげられる……!)

話がまとまり、ディアンヌが心の中で大喜びしていた時だった。
リュドヴィックは「すまなかった」と言って、ピーターを引き剥がそうとするが、まったく離れる様子はない。
エヴァも優しく声を掛けながら、ピーターを抱き抱えようとする。
しかし「うーん」と、唸りながらもディアンヌのドレスを力いっぱい握りしめているせいか、ドレスの生地が伸びてしまい断念する。
何度挑戦しても同じで、ピーターはディアンヌから離れようとしない。


「それにしても、ピーターがここまで懐くのは珍しいな。今日、彼女とピーターは初対面なのだろう?」

「……はい」

「うむ……」


ロウナリー国王はディアンヌとリュドヴィックを交互に見ながら顎に手を当てて考えているようだ。


「ディアンヌは、このパーティーで結婚相手を探していたんだよな?」

「は、はい……! どうにかメリーティー男爵家を救いたいと思っておりました。今思うと相手方にメリットがないと思うので、厚かましい申し出でした。ですがこれしか思いつかなかったんです」

「なるほど」


自分が嫁ぐことでメリーティー男爵家を助けてもらえないかと思っていた。
貴族として生き残るための考えだったが、図々しい考えに今更ながら羞恥心を覚える。
それもロウナリー国王とリュドヴィックのおかげで解決して安心していた。