「そうかそうか……! 熱い思いが伝わってくるなっ! もうすぐ生まれる子にも、オレが子どもの頃に好きだったフルーツを食べさせてやりたいな」

「わたしもお父様も、国王陛下のお気持ちに、是非とも答えたいのです……!」


するとロウナリー国王はハンカチでビーンと鼻をかんだ後に、リュドヴィックに視線を送っている。
ディアンヌも潤んだ瞳で彼を見つめて、懸命に『助けて欲しい』と、アピールしていた。
リュドヴィックの眉がピクリと動く。
その後に大きく咳払いをする。


「ゴホン……わかりました。メリーティー男爵領に関してはすぐに対策を考えます」

「おお、そうか! そういえば最近あの味が恋しいと思っていたんだ」


ディアンヌは眠っているピーターを抱えながら、深々と頭を下げていた。
パーティーであんなことがあったので、どうなることかと思ったが、ディアンヌは神に見捨てられたわけではなかったようだ。

(神様、国王様、リュドヴィック様……! 本当に本当にありがとうございますっ!)

彼らへの感謝から、ディアンヌの目には涙が滲む。
神はまだディアンヌを見捨てていなかったらしい。
ロウナリー国王が昔、メリーティー男爵家で育てているフルーツを気に入ってくれていて本当によかったと思った。