(リュドヴィック様は高貴な方みたいだし、紹介してもらえそう。これも何かの縁だもの……! それに今はなりふり構っていられないっ)

覚悟を決めてリュドヴィックに誰か紹介してもらおうと声を上げる。


「図々しいのはわかっています。リュドヴィック様、わたしにどこか働き口を紹介してもらえないでしょうか?」

「君は……結婚相手を探していたのではないのか?」

「はい! ですが結婚相手を探すのは難しそうだとわかったので、家族のために今のわたしができることをやりたいんです」


ディアンヌはリュドヴィックにジリジリと迫りながら、訴えかけるような視線を送る。
この際、結婚相手を見繕うのは難しいとわかってしまった。
社交界に対して無知で何も知らなければこうなってしまう。
物語のように王子様に身染められることなどありはしない。
自分で欲しいものに手を伸ばして、掴み取らなければならないのだ。

(リュドヴィック様は親切な方だから、なるべく賃金のいい働き口を……!)

ディアンヌのあまりの勢いに、リュドヴィックは一歩後ろに下がる。
しかしディアンヌも引き下がることはできはしない。


「リュドヴィック様、お願いしますっ!」

「ちょっと待て……!」


そしてディアンヌも一歩前に進んでいくと、足の痛みで体勢を崩してしまう。