期待をして送りだしてくれた家族を裏切るようになってしまうのは申し訳ないが、仕方ないだろう。
「恨まないのか? その友人のことを」
リュドヴィックの問いかけにディアンヌは少しだけ考えた後に、小さく首を横に振る。
「よく調べもせずにいたわたしも悪いので……」
「そうか」
「家族のためになんとかしてがんばりたいのです。弟には夢を追いかけて王立学園に通ってほしい。弟たちにもお腹いっぱいご飯を食べさせたかった……」
「……!」
ディアンヌはグッと手のひらを握り込む。
今回の件で貴族の令嬢として嫁ぐことはできないとわかってしまった。
けれど家族のためにまだまだできることがあるはずだ。
ディアンヌはこれからどうすべきか考えを巡らせていく。
「何もしないまま没落するのは嫌ですから、今からやれることをやろうと思います……!」
ディアンヌはここで諦めるつもりはなかった。
節約すれば、どうにかあと二日ほど王都に滞在できるはずだ。
(その間、働き口を探しましょう! 最初からそうしていればよかったのよ)
皮肉にもシャーリーに〝わたくしの屋敷で雇ってあげてもいいわよ?〟と言われて気がついたのだ。
今から他のパーティーに出るよりも、どこかで侍女として働き、家族を養えないかと思ったのだ。
ここまで追い詰められたら、もうどうにでもなれである。
失礼なことを言っていることは百も承知だ。