「……ロラン、やはり学園は」


二人の顔は暗いままだ。
やはり爵位を返上するしか方法はないのだろう。
男爵領はなくなり、ディアンヌたちは平民になることになる。


「気にしないで、僕は大丈夫だから。どこかに働きに出るよ」

「……ロラン」


ロランが自分の夢を諦めようとする姿を見ていると、ディアンヌは胸が苦しくなる。
ディアンヌはシャーリーからもらったパーティーの招待状をテーブルに置いた。


「ディアンヌ……これは?」

「わたし、パーティーに出て結婚相手を見つけてきます……!」

「なっ、何を言っているんだ!」

「今はこれしか方法がないの。みんなを助けたいの……!」


ディアンヌの言葉を聞いて両親とロランは驚いていた。
つまりディアンヌが嫁ぐことで、援助を受けることができるかもしれないと理解したのだろう。


「あなたがそこまでする必要はないわ……!」

「そうだ、ディアンヌ! まだ社交界デビューもしていないのにっ」


母が立ち上がってそう言った。
ロランも首を横に振り、ディアンヌを止めている。
父の言う通り、社交界に出たことがないディアンヌは知らないことばかりだ。
だが、今はこれしかメリーティー男爵家を救う方法がないと思った。