今年の暑さは少し異常で、9月中旬になっても真夏日が続いていた。

それでも朝晩には少し涼しくある日も出てきて、少しずつ秋が近づいてきたと肌で実感できるようになってきた頃、大西高校の教室内では来月に差し迫った文化さの準備で賑わっていた。

「梨穂、こっち手伝ってくれる?」
「もちろん。心春のイラスト本格的だね」
「えへへ、ありがとう」

私、四谷梨穂は友人の高上心春が黒い画用紙に描く長いワンピースを来た女性に関心して思わず声を上げた。

ワンピースの女性は長い前髪で顔半分が隠れていて、髪の隙間から大きくギラついて充血した目が恨めしそうにこちらを見ている。

私達大西高校1年A組では、文化祭でお化け屋敷をすることになっているのだ。
狭い教室内なので本物の人形を置くことはせず、心春の力作を何作か飾ることになった。

「梨穂の提案で、蛍光灯を混ぜた絵の具で描いたから暗闇で見たら結構怖いよ」
「やっぱり? お化け屋敷の中がボワッと浮かび上がってきたら怖いと思ってたんだよねぇ」

ふたりで肩を寄せ合ってキャキャア喜んでいると、そこに同じクラスの井深玲二と駒込友斗のふたりもやってきた。