私はどこにでもいる普通の女子高生!──ではあまりないような気がする。
 最上美紀は自分のことをそんな風に思っていた。
 何せ恋バナや推しには一切興味がないし、流行にもついていけないし、スマホもほとんど見ない。
 勉強の時落ちてきて邪魔だからと、髪は前髪ごと引っ詰めて後ろで括っているし、生徒会長なのに校則は破れないからと、一切メイクをせず、丈がすねまでのスカートに、長さがふくらはぎまでの白い靴下を履いている。
 休み時間も席で勉強し、人と必要以上のやり取りをしない。
 勿論そんな生徒は一人もいない。いつも美紀だけが浮いていて、誰も寄り付かない。
 ダサい、怖い、よく分からない。それが今まで言われてきた定番の3大ワードだ。
 別にそれでいい、実際そういう人間なのだから。そう思いながら、美紀はどんな時も背筋を伸ばし、毅然と生きてきた。
 それに、皆みたいにキラキラした学生生活は送れないかもしれないが、決して充実していないわけではない。
 給食は毎日美味しいし、授業は学び甲斐があるし、生徒会はやり甲斐があるし──何より、完全な一人ぼっちではない。
 たとえ変わった女子高生でも、美紀には親身にしてくれる先生がいるのだ。