不当な処分を下されるのは悔しいけれど、仮に再び在籍できることになったとしても、同じようなことが繰り返されるだけだと思うから。

「私は、グレイス女学校の決定に 従おうと思っております」
「そうか……。分かった」

 父は少し残念そうな面持ちで頷き、書類にサインをしてから執事に手渡した。

「この後の手続きを任せてもよいか?」
「かしこまりました。こちらを提出し、寄宿舎からお嬢様の荷物を取って参ります」

 執事がそう告げて部屋を出ていくと、父が慰めるように優しく声をかけてくる。

「色々なことがあって落ち込んでいるかもしれないが、未来を悲観してはいけないよ、ジュリエ。人生、よい時もあれば流れの悪い時もある。先のことは領地に戻ってゆっくり考えよう」
「はい。ありがとうございます、お父様」

 私は精一杯の笑顔を作って、元気よく答えた。
 いつまでも暗い顔をしていたら、父を悲しませてしまうだけだもの……。

 その後、オルティス領に戻った私は、王都での出来事が嘘 だったかのように穏やかな日々を過ごした。

 そして瞬く間に、三年の月日が経ち──。
 十七歳になった私の元にある日突然、王宮舞踏会の招待状が届いた。