紙片に書かれていた窓際の最前列に目を向ければ、そこには薄茶色の長い髪の少女が座っていた。
きっと彼女がロザリー・モディール公爵令嬢だろう。
目尻の切れ上がった瞳に、酷薄そうな笑みを浮かべる唇。
顎をツンと持ち上げ、周囲の人々を威圧的に見下しながら命令口調で話をしている。
モディール公爵家といえば、王家とも繋がりが深く、過去には宰相や側妃を輩出したこともある、クライン王国の最有力貴族。
校内には、モディール公爵家に対抗できる高位貴族がいないようで、生徒はもちろんのこと教師までもがロザリーを恐れて、忖度しているように見えた。
先程の親切な令嬢もロザリーの名前を口に出すのが怖いから、わざわざ紙に書いて教えてくれたのだろう。
なんだかとても、恐ろしい女学校に来てしまったみたい。
どうか目をつけられませんように……と、私は心の中で祈りながら授業を終えて、足早に教室を立ち去ったのだった。
──その後ろ姿を、ロザリーと取り巻きの令嬢たちがじっと見つめていたことに、まったく気付かずに。
きっと彼女がロザリー・モディール公爵令嬢だろう。
目尻の切れ上がった瞳に、酷薄そうな笑みを浮かべる唇。
顎をツンと持ち上げ、周囲の人々を威圧的に見下しながら命令口調で話をしている。
モディール公爵家といえば、王家とも繋がりが深く、過去には宰相や側妃を輩出したこともある、クライン王国の最有力貴族。
校内には、モディール公爵家に対抗できる高位貴族がいないようで、生徒はもちろんのこと教師までもがロザリーを恐れて、忖度しているように見えた。
先程の親切な令嬢もロザリーの名前を口に出すのが怖いから、わざわざ紙に書いて教えてくれたのだろう。
なんだかとても、恐ろしい女学校に来てしまったみたい。
どうか目をつけられませんように……と、私は心の中で祈りながら授業を終えて、足早に教室を立ち去ったのだった。
──その後ろ姿を、ロザリーと取り巻きの令嬢たちがじっと見つめていたことに、まったく気付かずに。