退院

数ヶ月が過ぎ、哲雄はデイケアでの活動やユカとの交流を通じて、少しずつ外の世界に慣れていった。そしてついに、退院の日が近づいてきた。ユカは、哲雄の退院を心待ちにしていた。彼が新たな一歩を踏み出すためのサポートをし、共に歩むことができると思うと、胸が高鳴った。退院当日、ユカは病院に向かった。待合室には、哲雄の荷物が整然と並んでいる。彼が無事に退院できることを思うと、感慨深くなった。
哲雄は、白いシャツとデニムを着て現れた。彼の顔には、少し緊張した様子が見えたが、同時に新しい未来への期待も感じられた。
「おめでとう、哲雄さん!」ユカは笑顔で声をかけた。
「ありがとう、ユカさん。これからどうするか、少し不安だけど…」哲雄は少し戸惑いながら答えた。
「大丈夫、私がついているから。ゆっくり一歩ずつ進んでいこう。」ユカは優しく手を握りしめた。
退院後、哲雄はユカのサポートを受けながら新しい生活を始めた。最初は小さなことから始め、買い物をしたり、カフェでのんびりしたりと、日常生活に少しずつ慣れていった。ある日、ユカは哲雄に提案した。「これからのこと、具体的に考えてみない?仕事を探すのもいいし、趣味を見つけるのもいいと思う。」
哲雄は頷き、「そうだね、何か自分にできることを見つけたい。」と前向きに応じた。その後、哲雄はユカの助けを借りて、少しずつ自信を取り戻し始めた。彼はリハビリの専門家として働くことを目指すことに決め、ユカと共に就職活動を始めた。新たな挑戦と日々の生活の中で、二人の絆は一層深まっていった。哲雄は、ユカの支えがあったからこそ、ここまで来られたと感謝していた。そして、彼らは未来に向けて共に歩むことを決意した。退院は新たなスタートであり、彼らの愛と信頼は、これからも続いていくことを確信していた。