「単独のライブコンサートって最高だね」
正がベース・ギターをケースに仕舞いながら言った。
「観客の反応が嬉しかったわ。応援してくれている人がこんなにいたなんて嬉しいわ」
分解したキーボードスタンドを揃えながら亜香里が言った。
「CDも結構売れてよかったね」
ドラムのバチを振り回しながら太郎が言った。
「裕一どうしたの?さっきからずっと黙っていて」
裕一はスマホの画面をじっと見つめていた。裕一のスマホの画面は、涙の粒が天井のライトの光を反射させて輝いていた。