意気揚々と家を出て学校に向かった。前世など私には関係ない。
そう思っていたのに、運命は残酷にも苛烈な軌道修正を望んだようだ。
信号が青になって横断歩道を歩いた瞬間、足場が輝き──気づけば見知らぬ空間に、転移していた。
「……は?」
「聖女召喚が成功しましたぞ!」
「これでこの都市も救われる!」
「──ッ!?」
どうして異世界に逆戻りしているの!? どういうこと神様!? しかもどう見ても私ともう一人の女子生徒がいて、絵面的に私巻き込まれた系ですよね!?
「……さ、最悪だわ」
「あの……私が聖女?」
「その通りでございます!」
「…………」
何より最悪なのは学年一……いや学校一性格の悪い女子、高無美玲が聖女という評価だ。この世界は改めてクソ最悪なのだと実感する。
彼女は聖女じゃなくて、悪女です。まあ、私のことなんて完全無視ですか、オマケというか、巻き込まれ召喚されたクラスメイトAですものね。