「気持ちは嬉しいけどごめん。」振られた。こうなることは分かってた。
でも、伝えずにはいられなかった。
「夏川は俺が転校すること知ってた?」急な話に驚く。
「、、、、、知らなかった。」「父さんがアメリカに行くからワンチャン、僕も行く可能性があるということで丁度二週間後に。」
つい、うつむいてしまう。「ごめん、迷惑だったよね。忙しいのに本当にごめん。」謝るしかできない。
「いいよ、全然。どうせ暇だし。」そう答える君からは優しさがにじみ出ていて嬉しくて悲しかった。
初めてする友達らしい会話がこんな感じなんて変なの。泣くな私。
「今日、誕生日なんだ、私。だから、一つお願いがあるの。難しかったら断ってもいい。でも、聞いてほしい。」
君は優しく微笑む。「何?」
「君の二週間をください。」私の言葉に君は少し間を開けた。「、、、、、いいよ。」
顔を上げる私に君は言った。「でも、付き合えない。それでもいい?」ああ、なんて優しくてかっこよくて残酷な言葉んだろう。
「うん、いいの。ありがとう。」沈黙が続く。それを破ったのは君だった。
「じゃ、また学校で。」走り出す君に夕日が重なる。背中が見えなくなると私はその場にへたり込んでしまった。
「ひくっ、あっ、あっああ」涙が止まってくれない。抑えてもあふれ出してくる。やめてよ。ダサいじゃん。
私はハンカチで目を押さえながら立ち上がる。
これは私、夏川亜夜と小石耀の14日間の物語。