「咲良ー、気づかなくてごめん。大丈夫だったか?」

「ほんとだよ、全然連絡つかないんだもん。」

「悪かったって、俺も全然ゼミおわんなくてさ。」


あの後、橘先生に半ば強引に

コンビニで買ったビニール傘を渡されて帰宅した私は

ちょうど時差で帰ってきた兄と玄関で鉢合わせた。


「傘、買って帰ってきたからへいき。」

「んならよかったけど。俺も似たようなもんだし。」

「タオル、とってくるね。」