しばらく移動し、どこかへ着陸した。

「……ゼェ……ゼェ……う"っ!」
榛名は乗り物酔いをしてしまったようだ。

『だらしがないな』
「うぅ…申し訳ごっ…!!」


人の姿になった十六夜はスーツ姿だった。
高身長でスタイルが良く、肌はほとんど見えないスーツなのに色気がある
そんな十六夜に酔った事を忘れ、見惚れてしまった。
『何かおかしいか?』
「いえ!とても素敵です」


数分歩くと人がチラホラいた。

榛名はビクッとなり怯えてしまう。
島の住人達から罵声や石を投げられた記憶が蘇っていた。

『ここは見てわかると思うが、東丿島ではないし、ここにいる連中は霊力なんてない。…お前の事なんて気にしないぞ』
「はい…」と自信なさげに呟き、十六夜についていくと、ショッピングモールがあり、外には旗や出店があった。
「お祭りですか?」 
『違う。ここは商業施設が沢山入った建物だ。毎日賑わっているそうだ…と、店の者に聞いている』
「毎日お祭りなんですね…」
榛名は島から出たことがないので、いまいち理解できてなかった。

『お前の衣食を整える為に来たんだ』
「え!生贄になんかそんな事していただかなくても!私、お金持ってませんから!」
慌てて遠慮したのだが

『言ったはずだ、健康体くらいに肥えてもらわないとな。金なら神獣とはいえ持っているから安心しろ』

(あ…)
恋人繋ぎをし下から上まで建物内をまわることにした。

建物内の人や店に困惑しつつ興味が湧く

『初めてとか言ったか?島ではどうしていた?』
「島には出ることは許されませんが、漁師や一部の許された島民は東丿島の名産物の鉱石を売ったり、月に一度だけ大きな船で物資が運ばれます。」

『売りに行く島民に混じって逃げなかったのか?』 


「いえ、掟ですから……それに船や名産物を売るのにアヤカシの協力あってこそで、バレてしまいます」

逃げ出したい気持ちはあったが、掟や逃げたのがバレた時に雪愛達からの仕打ちの恐怖心で行動に移せなかった

『掟か…アヤカシの暴挙を止めるために霊力のある人間を4つの島に閉じ込め、アヤカシは日本を襲わず守らせるためにやったんだったな』
「龍神様はどのようなお役目であの島に?滞在されておりませんよね?」

『俺様たち4体の神獣は地球から島を見えないように結界をはり、島民に守り神として祀らせ掟を植え付ける。アヤカシの暴挙を止めるのも俺様達の役目だ。…普段は天界に住み、察知すればすぐに動くしたまに気づかれずに監視しに行くらしいがな』


神様→神獣→アヤカシ→人間や動物という上下関係のようなものがあるようだ。

「十六夜様が住む島が天界ですか?」
『違うな。ただの無人島だ』
「なぜ天界に住んでないらっしゃらないのです?」
『俺様はあの島を捨て、天界から捨てられた……それだけだ』


淡々と語る十六夜の目には淋しさが写っていた

何があったが知りたかったが、なんとなく聞けない雰囲気だった

日用品から衣類など購入した。

『次の階に…』
元気そうな十六夜に慣れない場所と人混みに疲れていた。
「き、休憩よろしいですか?」
『よかろう。人間はそろそろ飯の時間か』