「まず、髪の毛」
金髪は保つのが難しい。
根元の黒が見えるだけで一気に汚らしく感じる。
それなりの頻度で美容室に行かなきゃならない。
これはわたしの持論になるのだが
売れていないうちの金髪は最も避けるべき髪型だ。
「根元のリタッチ、多分最低でも2か月は放置してるはず。
売れてる子は身なりを気にする上にお金もある。
だから美容室にも頻繁に行き髪型や髪色を変えるはず」
なにも言わずに首を縦に振るマスターを横目に
わたしは続けた。
「そもそも、アフターの仕方が
全然だめだね」
怪訝な表情を浮かべるわたしにマスターは
手を止め『やっぱりあたしの見込んだ女ね』と。
『仕事も家も、なくて困ってるんでしょ?
どう?”うち”で働かない?』
「え?レスタで?」
首を横に振るマスターとアホ面で見つめるわたし。