『で?気づいたら夜になってたって?』

「うんー…不覚にも落ち込んで
眠りにも落ちてー…。

そして全部物取られたのよ‼
犯人見つけたら必ず絞め落としてやる…‼」



 あの後やることも、行くとこもなく
ただ時の流れるまま空を見つめていたら

 なんとなく春の風に
睡眠欲を刺激されてそのまま心地よい風に包まれ

 大爆睡。

 起きた時にはキャリーバックも
カバンも段ボール2箱もまるっとどこかへ消えていた。



『この街がどうゆうとこかあんたが1番知ってるのに
不用心にもほどがあるわよ』

「ううー…。言い返す言葉もないです」



 マスターはグラスを拭きながら
『あ』と何かを思い立ったように不敵な笑みを浮かべた。

 私は知っている。

 この顔をする時は、ろくなことを言わないと。