「あれ,おきてる……ごめんね,それならノックすればよかった」
「えっあっ,え!?!」
ほんとの本物のはも先輩なの?!?
ここは,私の家の,私の部屋……だよね???
今度こそ夢かと思う。
けれど目の前の先輩は私に話しかけ,何かを探すようにきょろきょろとしていた。
そ,そんなにみないでください……
思わず視線を追いかける。
幸いにもそんなに散らかってはいないけど。
見られて困るものもないはずだけど。
これはそんなことで落ち着く気持ちではない。
「ほいっ」
「あっあっはい!!」
めざとく体温計を見つけ,渡される。
反射的に受けとり,私は自分の脇へとさした。
「あ,あの。どうしてここに?」
今更ながら,パジャマ,古い,はずかしい。
「ん? お見舞いっ」
バサッと袋が見える。
オレンジ色が透けるあれは……みかんゼリー?