「翠ちゃーん!」
トイレまでの往復で,なにか見つけたのだろうか。
はも先輩は扉を素早く開くとぱたぱたと駆け寄った。
「あれ」
な,なに。
先輩を見てると……くらくらする。
これは,どうして?
もしかして私,たったの数日だったのに。
もしかして本当に……
「ちょっとごめんねぇ~ー」
目の前で滑り込むように正座すると,私に右手を伸ばした。
頬にぴとりと手のひらが当たる。
そして確認するように,上目になりながら手のひらをひっくり返し,額へと手の甲を押し当てた。
「あつあつ,ほっかほかの……お熱だねえ。秋! 保健室!!!!!」
「! 分かった」
ひょいと身体が浮く。
見ると正面には同じく片手で抱えられたはも先輩がいた。
これ,どういうじょうきょ……
「揺れるかもしれないけど,悪い。掴まってろ」
横顔が見える。
秋先輩,イケメン過ぎない???