「あー,この前は,大丈夫だったか?」

「ふっ。?!?! この前……って?」



はも先輩がトイレに行っているらしい間に,秋先輩は私にそんなことを言った。



「この前はこの前だ。日曜日,結局出掛けたんだろ,2人で。あの後から光の機嫌が底無しにいいから心配になってな」



そう,なのだろうか。

私の目には大差ないように見えているけど。

また日常がやって来ている。

かと思いきや。



「南もなんか変だし。なんか,された?」

「な,なにも」



私が変なのはあっている。

あの日からどうしてか,どきどきして収まらなくて。

はも先輩の顔が,見れない。

朝ははも先輩が待っているから,少し早く起きるようになって。

昼も秋先輩と3人で過ごして。

放課後も,タイミングが会えば一緒に帰ったり。

ずっと一緒なのに,ずっとどきどきして仕方がないのだ。



「あいつ。ああ見えて結構恥ずかしいやつだからさ」

「? ?」

「まあ,頑張れ」



ぽんっと,頭の上で骨張った手が跳ねた。

どういう,意味???