怪物は防御をし、その防御を崩すためにフロルが魔法を連続で放ち、ステルラも銃を撃つ。シエロは防御魔法で結芽を守っている。彼女は戦う彼らから目を離すことができなかった。

(何でだろう……。私、この人たちの戦いを知ってる……)

ふと体が勝手に動き出した。結芽はゆっくりと立ち上がり、シエロが作り出した防御魔法の外へ出た。

「結芽さん!戻ってください!」

シエロがそう叫んだ瞬間だった。怪物が振り回した腕が結芽に当たる。彼女の体はあっという間に宙を舞い、地面に叩きつけられた。

(痛い……)

ズキズキと激しい痛みが結芽の体を走る。シャムスとシエロが駆け寄り、声をかけてくれるものの何を言っているのか聞き取れない。しかし結芽の頭の中に声が響いた。

『何この小説。つまんないんだけど。こんな面白くない小説初めて読んだ。才能ないんじゃない?部活辞めたら?』

刺々しいその言葉を皮切りに、結芽の頭の中に大勢の人の声が響いていく。その声はどれも刺々しいものだった。