（どうしてこんなケーキを知っているの？白馬ケーキなんて食べたことも見たこともないのに……）

笑顔で話すシャムスたちを見て、結芽は足を止めてしまいそうになる。この光景を何度も見たことがあるような気がした。しかしそれをどこで見たのかわからない。

（私、大事なことを忘れているの？）

しばらく歩くと大きな川が目の前に現れる。美しい水色の透き通った水が流れている。

「綺麗な水！」

「フロルの髪の色にそっくりだね」

シャムスとフロルがはしゃぐ。流れる水を見て結芽の頭の中にあることがストンと落ちてくる。

「ただの水じゃないです。この川はソーダが流れています」

結芽の言葉にステルラが「どれどれ」と言い、川の水を手で掬い上げる。口に含んだ瞬間、ステルラの目が大きく見開かれた。

「本当だ！ソーダだ！」

「私も飲みます！」

シエロもステルラの隣に並び、ソーダを飲んで笑顔になっている。結芽も川に手を入れた。冷たいソーダを口に含む。炭酸が口腔内を刺激していった。