(どうして私はみんなを知っているの?思い出せない……)

頭を抑えて考える結芽の目の前に、スッと大きな手が映る。顔を上げるとシャムスが人を安心させるような笑みを浮かべ、手を差し伸べていた。

「結芽、一緒に冒険の旅に出よう」

この手は絶対に取らなければならない、そう結芽は直感で思った。結芽はシャムスの手を取り、パーティーメンバーの一員として旅に出ることになった。



チョコレートの森を結芽たちは歩いて行く。シャムスたちはこれまでに立ち寄った村のことなどを話していた。

「あの村の名物白馬ケーキ、おいしかったですよねぇ」

シエロがヨダレを垂らしながら言い、ステルラが「汚ねぇな!」と言いながらも肯定した。シャムスとフロルも頷いている。

(白馬ケーキ)

結芽の初めて聞くケーキだ。しかし、結芽の頭の中にぼんやりとケーキが浮かんでいく。真っ白な馬の形をしたケーキだ。中には熱いラズベリーソースが入っているのだ。