「大切なのは才能じゃなくて、まずは執筆を楽しむことでしょ?才能があっても楽しくなくちゃ意味ないと思うな」

「周りの人間がどう言おうが、結芽は結芽だろ。俺たちの生みの親で勇者だ。小説を一つ書き上げられただけでもすごいんだぜ」

ステルラが結芽の肩にそっと手を置いた。その手は温かい。彼らは目の前で生きている。そしてその命を吹き込んだのは、間違いなく結芽自身だ。

目の前がぼやけていく。しかし、それは先程までの絶望の涙ではなかった。かけてほしかった言葉をシエロたちがくれたのだ。

「俺たちは結芽の中で生きている。頑張っているのも知っている。だからもう少しだけ本当の世界で生きてほしい。結芽は幸せにならなきゃ」

シャムスがそう言った刹那、結芽の胸元から白い光が溢れ出す。それと同時にふわりと彼女の体が浮いた。この体が生きようとしているのだ。

「みんな、ありがとう!行ってきます!」

結芽の目に、四人の笑顔が焼き付けられた。