目を覚ますとそこは不可思議な世界だった。少女は辺りを見渡し、「わぁ！」と声を上げる。全く見知らぬ場所だったが、不思議と少女は恐怖を感じなかった。

目の前にあったのは広大な森だった。否、ただの森ではない。大きな木の幹や枝はチョコレートでできている。茂った葉っぱは緑色をしたわたあめで、木に実った果実はグミである。

「おいしそう……」

木に近付いて少女は息を吸い込む。甘い香りが鼻腔の中に入り込む。優しい風が頰を撫でていった。

（心地いいな。もう一回寝たいかも）

少女がクッキーの地面に座り込み、もう一度眠ろうと目を閉じようとした時だった。少女の肩を何者かが優しく叩く。

「起きて」

少女が目を開けると、真っ先に雪のような白い髪が目に映った。白い髪にルビーのような赤い瞳、腰に剣を差した見知らぬ男性が目の前にいたのだ。男性だけではない。他にも見知らぬ男女が三人少女の近くにいる。

金髪に猫のような青い目をして銃を持った男性と、長い杖を持った水色の髪の女性、緑の髪をして本を持った男性だ。四人は心配そうに少女を見つめている。