翌朝。
私、今日は日直だからはやく学校に行かなきゃいけないんだ!
みんなにははやく出ますという紙をテーブルに置いておいたから、心配はしないはず。
「明寿咲!俺を置いていくなよ」
振り返ると、時尾留が走りながら来ていた。
「あはは、ごめん、ごめん。でも私、ちゃんと紙に書いておいたよ?」
「知ってる。だから走って来たのに」
わわっ、また時尾留が小悪魔だ。
「昨日は大丈夫だったか?アザだけで済んだ?」
心配してくれるなんて、やっぱり磯崎家のみんなは優しい。
引き取られるのが磯崎家でよかったな。
そう思って返事をすると。
「うん」
「本当か?」
「もう、心配してくれるのはありがたいけど、心配症すぎるよ〜」
なんて言ったら。
「俺がこんなに真剣になるの、明寿咲だけだから。俺の『トクベツ』は、世界中でただひとり、その人は…明寿咲なんだ」
「時尾留…」
「行くぞ」
恥ずかしくなったのか、時尾留がスタスタと歩き出す。
「ま、待ってよ〜」
「待たない」
「小悪魔〜‼︎」
時尾留は無視して進んでいく。
いい言葉を言ったと思ったら、恥ずかしくなっちゃって逃げるとは。
私は小走りで時尾留に追いついた。