「夜ごはん食べたいんだけど」
「おまっ、タイミング見計らってただろ…‼︎」
今度は研由がドアから顔を出して、叱られてる。
「別にいいでしょ。明寿咲、お願い」
「わ、わかった」
いいタイミングで出てきたな…今だけは。
だって、どうしたらいいかわからないくらい、ドキドキしてたから。
夕食のマカロニサラダを作っていると、時尾留がキッチンに顔を出した。
「お、マカロニサラダ?はやく食いたい」
そこまで言うと、言いにくそうに、
「あ、明寿咲…」
「何?」
「あのさ…あーん、して」
あーん⁉︎
「ど、どういうこと⁉︎」
「だから、あーんして、って言ってる。前は、李月と龍二しか食ってなかっただろ。俺は食ってない。だから、別にいいだろ」
そ、それは研由もですけどね‼︎
けど、『学園の王子様』のひとりのすね顔を見て、何も言えなくなった。
いいのは顔と身長だけで、実は中身は小悪魔…、だなんて…!
この…このっ…小悪魔め‼︎
「わかったよ…はい、あーん」
「なんで棒読みなの‼︎ まあいいや、あーんもマカロニサラダも、ご馳走様」
「もう!」
私がフィッとそっぽを向くと、かわいい、と声がする。