その時。
「おーい!2人とも、部活の見学、行かないの?」
振り返ると、研由が大きく手を振っている。
なんか、研由もキャラ変した⁉︎
「おい、研由…」
わ、また李月が不良っぽくなった。
「お前、自分で立ち上げた科学部で忙しいつってただろ。なんでここにいるんだ?」
科学部って…自分で立ち上げたって…。
すごすぎる‼︎
「いや、そうなんだけど…今日は疲れたから帰りたいって言ったら、いいよって」
「ふーん。女子は大丈夫だったのかよ」
「まあね。ちょっと退けって笑顔で言っておいた」
スゴい…さすが『ウワサの4兄弟』だ。
モテモテだし、『学園の王子様』と呼ばれるのも納得。
「なんでこのタイミングで…研由…お前シメるぞ」
ボソッと李月が言うと、
「は⁉︎ なにが⁉︎ やめろよ」
「じゃあ、今日の夜ご飯ぬきな!」
「もっと嫌だな。夜ご飯を食べないと、メリットもあるけどデメリットもある。太りやすくなるとか、痩せるけど筋肉が落ちるとか。その他、食べたすぎて夢にも出てきたり、ストレスを感じることが増えるとかさ。体調も崩すかもしれない。バランスの良い食事と1日3食、必ず食べる。それが1番いい。このこと全て、朝ご飯でも夜ご飯でもそうだ」
…す、すごい…。
今日、朝食ぬきって悪いことしちゃったな。
でもこれがパッと出てくるって本当にすごい。
当たり前だけど、色々できないことが多いんだよね。
李月は面食らってるみたい。
「はいはい。お前の天才モードいきなり出るな」
「お前もそうだろ‼︎ 人懐っこくてかわいいキャラから、すぐにクールで不良キャラになるし」
仲良くていいな。
きっと、ずっとこの人たちは支え合って生きていくんだろうな。
自分とは違う環境に少し、胸がジクジクした。
「なぁ、明寿咲。俺たちの妹ってこと、忘れんなよ」
研由が唐突に言った。
「あぁ?なんだよ急に」
「明寿咲は俺たちと本当の兄妹じゃないけど…これから、というか、この瞬間から、この瞬間も、か。俺たちの妹だからさ」
すぐに私の感情を読み取った研由がフォローしてくれているのだとわかった。
「兄妹の絆、ってヤツか」
「ま、そういうことにしておいてあげる」
「違うのかよ⁉︎」
まだぎゃーぎゃー言ってる2人を見たら、私もなんだかここに居ていいんだなって…なんだろう…居場所、この言葉がぴったりだ。
やっとステキな居場所を見つけることができた。