放課後、部活の見学にも行かず、家に帰ろうとした私は、とんでもないものを見てしまった。
アイスを食べている2人…ゴミを川に捨てた‼︎
しかも、後ろ姿だけど、私たちの学校の制服。
「ちょっと、なにやってるんですか‼︎」
近づいたら、意外と大きいことに気がついた。
男子、だったし…たぶん、同級生じゃない…。
やってしまった…。
「はぁ?お前…1年か。女子かよ。なんだよ、俺たち3年だぞ。文句あんのか?ってか、お前誰?」
ひとりが睨みつけながら言った。
「1年、磯崎 明寿咲っていいます。川にゴミ捨てるのって、よくないと思います‼︎」
またやっちゃった…。
正論だけど、怖そうな先輩に言っちゃうなんて…。
だけど先輩は、
「磯崎…?お前、磯崎のファン?だからって磯崎って名乗るなんておもしろすぎだろ‼︎ 俺たちに注意した上に磯崎とか名乗るとか!笑えるぜ。俺たち新聞部なんだ。いい記事ができそうだぞ…!写真撮らせろよ。コイツが言ったんだぞっていう証拠を‼︎ 先輩に文句つけたヤツってな!」
ヤバっ…!
腕をガシッとつかまれ、もうひとりはガサガサとカバンをあさっている。
「なにやってんすか」 
驚くほど低い声が聞こえて、一瞬、つかんでいた力が弱まる。
その隙に、さっと抜け出す。
助けてくれたのは、李月だった。
「なにやってんだって、言ってるんだけど。先輩?新聞部だぁ?やっていいことと悪いことがあるだろ」
李月…ギャップがすごい…。
家ではわんこなのに、今は不良って感じだ…。
李月って実は、ダブルフェイスなんだな。
「お、お前も1年だろ‼︎ 先輩にタメ口とかないだろ‼︎ シメてやろうか?」
「じゃあ、俺は兄の時尾留を呼んでやろうか?時尾留に残念がられるだろうな。時尾留の同級生は、こんなことしてるんだってな」
「だ、黙れ」
先輩たちは、ぎりッと奥歯を噛み締めたあと、走って行ってしまった。
「明寿咲、なにやってんの?大丈夫だった〜?でも、ちゃんと注意してエラいよ!だけど、注意しちゃダメなときもあるからね。気をつけて。ほら、帰るよ♡」
…。
……。
いきなりわんこモード、ON ⁉︎
「僕と恋人繋ぎして?」
もう繋いでるじゃん。
上目づかいで見てくるなんて、ズルい。
「ねぇ、明寿咲?」
不意に名前を呼ばれて、ドキッとする。
「うん?」
「僕ね、明寿咲のこと__」