その夜。

 フローレンシアは会社の接待が入っており、顔合わせの後一度家に帰って接待先へ向かった。
 
 料亭で食事をしてそれから向かった先はキャバクラ。
 この流れはルーティーンになっているようだ。

 若いキャバ嬢がはしゃいでいる中。
「いらっしゃいませ。ご一緒していいでしょうか? 」
 現れたのは金髪の髪を盛っている明らかにオバサンの顔をしているキャバ嬢。
 露出のあるピンク色のドレスを着ているが贅肉が多くてめだつ。若いキャバ嬢の中に入ると浮いて見えて、キャバクラで働くよりもスナックにいた方が似合いそうな女だ。

「新入りのリナです。よろしくお願いしまぁすぅ」
 どこかで聞いたような声と口調…。
 里奈と名乗るキャバ嬢はフローレンシアの隣りに座った。
「素敵ね…」
 お酒を用意しながらフローレンシアにすり寄って、さりげなく太ももとくっつけてモーションをかけているリナ。
 
 モーションをかけてくるリナに嫌悪感を抱いたフローレンシアは、ちょっと距離をあけたがすぐにリナがくっついてくる。
「はい、どうぞ」
 お酒を用意してフローレンシアに渡したりな。
「あ。ありがとう…」
 お酒を一口飲んだフローレンシアをニヤッと笑ってみたリナ。


 しばらくすると、フローレンシアは急激な睡魔に襲われてきて先に失礼させてもらう事にした。

 
 眠気を吹き飛ばしながらタクシーを拾う為に表通りへ歩いているフローレンシアに、黒い大きなつばの帽子をかぶった女性が近づいてきた。

 
 公園を通りフローレンシアが表通りへ向かっていると。
 グイっと、後ろから羽交い絞めにされた。
「わぁっ! 」
 驚いた声を上げたフローレンシアだが、睡魔が襲うお琴で力が出なかった。
 そのまま引きずられるように公園の多目的トイレに引きずり込まれたフローレンシア。

 ドサッ!
 壁に叩きつけられたフローレンシアは、痛みで視界が霞んだ。
「お久しぶりねフローレンシア」
「お…お前…美紀? 」
「あら、知らないの? 美紀は死んだのよ。私は美和」
「美紀も美和もどっちも同じだ」
 背中に激痛を感じながらもフローレンシアはスマホを上着のポケットから取り出した。
「余計な事はやめなさい! 」
 バコッ! 
 フローレンシアの腕を蹴飛ばして、スマホを蹴飛ばした美和。

 コロコロ…スマホはそのまま地面に転がった。

「大人しくしていれば、そのまま気持ちよくして死なせてあげるわ」

 サッと上着を脱いだ美和は下着姿になってフローレンシアに覆いかぶさった。
「どう? 私の体、欲しくなるでしょう? 懐かしくない? 」
 フローレンシアの顔に胸を押し当てグイグイ食い込ませた美和は、そのまま馬乗り状態になりフローレンシアの下半身へ手を伸ばした。
「あら、まだ元気じゃないのねぇ」
 
 気味の悪い笑いを浮かべながら美和はフローレンシアのズボンを下げた。